立飛グループ創立100周年記念事業
多くの人々の心の奥に潜む物語「シンデレラ」を、Kバレエ・オプトが日本の現実を生きるヤングケアラーを主人公に新たな物語として再生。振付・演出はジュゼッペ・スポッタ。彼は大家マウロ・ビゴンゼッティの弟子で、ヨーロッパで最注目の若き俊英振付家。原案は新しい詩の運動をまきおこし様々な領域で活動する希代の詩人、最果タヒの書き下ろし詩集「シンデレラにはなれない」。演奏は古い電化製品を「電磁楽器」に蘇らせ演奏する異才の音楽家、和田 永。衣裳はジェンダーレスブランド・MIKAGE SHINをリードする気鋭デザイナー進 美影。メインビジュアルはヒグチユウコ描き下ろしのイラスト。そして、ダンサーには円熟味を増し繊細な表現力が期待される酒井はな、白石あゆ美が参加。最前線で活躍するクリエイターたちの技と閃きが凝縮した新たな「シンデレラ」が誕生する。
熊川哲也とBunkamuraが新たなプロジェクトを始動させたのは2022年のこと。これからダンス界を席巻するであろう才能の紹介、現代社会に潜む問題をダンス作品に昇華し世界に発信していくことを目標とした。第2弾となるプラスチック汚染をテーマにした「プラスチック」が、The Guardian、SMCP、NHK WORLDといったグローバルメディアに特集されるなど、演出、美術面のみならず社会面でも高い評価を得た。第3弾から、新たにドイツ公立劇場で芸術監督を務めた森 優貴を芸術監修に迎え、既存の枠組にとらわれないダンスの深層を探る意欲的な創作を目指す。
振付家。2002年にバレット・ディ・ローマに入団。2004年アテルバレットに参加。在籍中、当時の芸術監督マウロ・ビゴンゼッティの指導のもと、イリ・キリアン、オハッド・ナハリンらの作品を踊る。その後ドイツへ渡り、ゴーティエ・ダンスに入団。2010年ヘッセン州立劇場バレエ団に入団、芸術監督のシュテファン・トスに感銘を受け、振付活動を始める。2011年トス振付『Blaubart』に出演後、ドイツで最高峰の芸術賞である「ファウスト」賞受賞。同年ハノーバー国際振付コンクール2位入賞。2019年よりMiRダンス・カンパニー ゲルセンキルヒェンの芸術監督。ヨーロッパで最注目の若き俊英振付家。
詩人。2004年よりインターネット上で詩作をはじめる。2006年現代詩手帖賞受賞。2007年第一詩集『グッドモーニング』刊行。同作で中原中也賞受賞。2015年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞、その後も詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』が、池松牡亮・石橋静河主演で映画化されるなど新しい詩の運動をまきおこす。現代日本を代表する詩人である最果のレトリックを抑えたストレートで鋭い言葉が、どの様な舞台演出へと昇華されるのか期待が高まる。
アーティスト、音楽家。大学在籍中より音楽と美術の領域で活動を開始。2009年よりOpen Reel Ensemble、Braun Tube Jazz Bandとして活動。2015年より古い電化製品から新たな「電磁楽器」を創作しオーケストラを形作るプロジェクト「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」を始動、第68回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。現代アートの旗手として彼のパフォーマンスは常に注目を集めるが、本作では特に音楽家としてのずば抜けた閃きが発揮される機会となるに違いない。
デザイナー。早稲田大学卒業後、一般企業に入社。退社後、パーソンズ美術大学に留学。2019年にニューヨークで自身のジェンダーレスブランド・MIKAGE SHINを立ち上げる。2022年に日本メンズファッション協会ベストデビュタント賞を受賞。「個人の知性と強さを引き出す」を理念に、国籍、年齢、性別を問わないデザインを提案している。そのボーダーレスでしなやかな発想は、着る人の個性や美意識をさりげなく物語ってくれる。今回は、初めての舞台衣裳制作としての参加となる。
酒井はな 白石あゆ美
石橋奨也 岩井優花 小林美奈
吉田周平 中井皓己
他 K-BALLET TOKYO
【キャスト変更のお知らせ】
出演を予定しておりました森優貴は、怪我のため降板することとなりました。
それに伴いまして以下の通りキャストを変更させていただきます。
〔祖父役〕森優貴 → 石橋奨也
出演を予定しておりました杉野 慧は、怪我のため降板することとなりました。
それに伴いまして以下の通りキャストを変更させていただきます。
〔青年医師役〕杉野 慧 → 中井皓己
制作ノートをはじめ、劇評や舞台写真も掲載しております。
プラスチック汚染を描いた意欲作「プラスチック」が、The Guardian、SMCPに特集されるなど国際的にもその取り組みが注視されるKバレエ・オプト入魂の最新作が誕生。
第3弾となる本作は、ヤングケアラーの少女を主人公に描く現代の「シンデレラ」。本来大人が担うべき責任である介護や育児を一手に引き受けざるを得ないヤングケアラーという存在は、かつての地域共同体が核家族化により崩壊し、人情の細やかだった下町も、隣にどんな人が住んでいるのかわからない状態になっている現代日本にこそ際立った問題といえる。
そのような状況下で、子どもたちは他者との結びつきを失い社会から孤立し、かえって家族関係は密度が濃すぎる窒息状態に似たものになる。そんな現代日本を生きるヤングケアラーである主人公の等身大の成長と人間愛を描く。
名作「シンデレラ」が下敷きではあるが、ディズニー版のような世にある恋愛のカによってのみ主人公が解放されることは起こらない。かつておとぎ話には、恋の成就以上に大切な「祈りの力(呪力)」が込められていた。シンデレラをはじめとするおとぎ話は、飢饉、領主の圧政、疫病、天災といったギリギリの社会状況で生まれ、大人たちは世の中の大混乱を前に、未来に知恵と希望を託すべく必死に物語った。そうした未来への「祈り」の伝播こそがおとぎ話の役割であった。
翻って、私たちが生きる社会を見渡すと、世界はまさに中世の混迷期さながらの社会変動を目の前にしている。しかも、かつて栄華を誇った日本経済は、バブル期の終焉とともに失われた30年という経済的陥没期に入り、その後、復活の見通しも立たず、相対的に貧しい国になってきた。
「ヤングケアラー」問題は、そんな私たちの状況のなかに生まれてきている。日本はいま、子ども食堂に見られるように子どもたちがひもじく、食べるものに苦労している時代になりつつある。未来に希望を見いだせなくなってきた日本の社会。我々は、どんな希望を、どんな知恵を未来へと託すのだろうか?今を生きる子どもたちには、そんな我々が編む新しい「シンデレラ」が必要だ。いや、子どもたちだけではなく、我々自身も現代の「シンデレラ」を深く知る必要がありそうだ。
※「ヤングケアラー」とは、近年可視化されつつある社会課題で、本来大人が担うべき家事や家族の世話(介護や育児など)をおこなっている18歳未満の子どものことを指す。
8月3日(土)
15:00 開場 16:00 開演
8月4日(日)
13:00 開場 14:00 開演
※TACHIKAWA STAGE GARDENにはお客様駐車場はございません。公共交通機関等をご利用ください。
※本公演は、未就学児童の入場不可です。
※やむをえず、演目・出演者が変更になる場合がございます。予めご了承ください。
※公演中止の場合を除き、チケットの払い戻しはいたしません。
※営利目的でのチケットの購入、並びに転売は固くお断りいたします。
※携帯電話、その他電子機器による公演及び出演アーティストの撮影、録音はご遠慮ください。
※開演時間を過ぎますと、ご入場をお待ちいただいたり、ご自身のお席にお座りいただけない場合もございます。
※ TACHIKAWA STAGE GARDENにはお客様駐車場はございません。公共交通機関等をご利用ください。